ホピ族のベテランアーティストマーカス爺さんのバングルです。
マーカス氏はホピ族の中で私が最も尊敬するアーティストの一人です。糸ノコで丁寧なカットをする、昔ながらのホピのオーバーレイ技法を大切にしているアーティストです。
彼は動物のモチーフを作る際、コヨーテと熊を好んで製作しますが、このバングルはマッドヘッドカチーナ(土頭の精霊)とホピ族のビレッジ(村)が描かれています。
マッドヘッドカチーナが踊り、雲を呼び、村に雨を降らせ、『豊作がもたらされるように』と祈りを捧げている様が描かれています。
祈りの石として高級感のある緑のターコイズ、ネバダ州産ダマリターコイズをセットして作られています。
マッドヘッドのダンス姿と波模様が描かれていますが、絵柄に動きが感じられる作品はホピの中でもマーカス氏が一番だと思います。
もう歳をとって目が悪くなってきたと言いながらメチャクチャ細かく綺麗なオーバーレイ。
とても糸ノコで切り取ったとは思えない、まさに職人技の光る作品です。
【この作品はホピ族の得意とするオーバーレイ技法により作られています。オーバーレイとは元々2枚のシルバー板の上の部分【模様になる部分】を糸ノコで丁寧に切り取り、それを又張り合わせて凹凸を作りあげる方法です。黒く見える部分は下のシルバー板の部分ですが、その部分にもタガネで丁寧に刻みを入れ込みます。とても手の込んだ作業で、熟練の職人でないと綺麗な模様を作り上げることは出来ません。】